「庄内のかたち、秘話・あれこれ」3刊、4刊のご紹介

✍ 平田 惇(65回生)
鶴岡の昭和町に残る、築・弘化四年(1845年)の古い土蔵の中で、平成21年から毎月1回、月曜の昼下がり「土蔵サロン」が開かれています。これまでに120回程になりましたでしょうか、識者を囲んで、庄内の歩みの中に見え隠れする史跡、逸話、信仰、移民、風習、交流、芸能、偉人などを語り合うサロンです。時には小型バスで史跡めぐりもしました。その中から、荘内日報に寄稿したものを編集し、「庄内のかたち、秘話・あれこれ」として平成23年に初刊発刊し、「続々」「続々々」まで4刊シリーズで発刊しました。
井戸端会議の感覚で選んだ話題が多く、学術的体系的なものではありません。鳥が空から眺めるように、隠れている知られざる逸話や事象を見つけ出し、忘れがたきふるさとへの想いのネタとなればとの思いで編集したものです。
発刊者は、土蔵サロン編集委員です。1、2刊は、以前、東京鶴翔同窓会総会で陳列しましたが、今回の紹介は3、4刊です。3刊では「出羽国のあけぼの、中世の治世の流れ、蜂子皇子の足跡たどる、鶴岡常念寺について、丸岡城物語など」、4刊では、「庄内の文化の源流を辿る、庄内の地名語源、芭蕉の辿った道、庄内の天領、寄稿・庄内のかたち随筆集など」が記されています。全容は画像の表紙(3刊・蜂子皇子木造、4刊・黒川能祭)と目次をご覧ください。
「庄内のかたち」は、出羽国への移住民依頼、豊かな自然の中で五穀豊穣に恵まれて大きな侵略や戦乱も少なく、廃藩の危機も乗り越えて、信仰、風習、文化を熟成しながら創生された息の長い人智の賜物との想いにかられます。
一方では、庄内人の歩みには庄内特有の「内向きの風」により、慎重で引っ込み思案、奥手の気質、と同時にひかえめで奥ゆかしい美徳・人徳も感じとれます。
現在は、外向き型へ脱皮を目指し対外交流や外部からの移住も活発で、サイエンスと文化両面の国際交流都市の実現も夢でないようです。
50年後、100年後へ向けて、新しい 「庄内のかたち」 づくりを鶴翔の若人に期待し、又、老婆心ながら「庄内のかたち」の足元を見つめる大切さを忘れないようにとの願いを込めて紹介いたします。

◆ 発刊者 土蔵サロン編集委員・平田 惇(65回生)